金融・投資

2023.04.13

SOR注文とは?株式投資に活用できる証券会社も紹介

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「SOR」とは、複数の市場から最良の条件を提示する市場を自動的に選択し、売買注文が執行されるシステムのことです。「SOR注文」を選択すると、よりよい価格で売買をすることができます。本記事では、株式投資におけるSOR注文の概要と、SOR注文を選択できる証券会社も紹介します。

SOR注文とは何か

SOR注文は最良の市場を自動的に選択する方法

SORは「Smart Order Routing(スマート・オーダー・ルーティング)」の頭文字の略です。SOR注文を選択すると、最良の価格を提示する市場を自動的に選択して売買が行われます。証券会社によってSOR注文ができる銘柄は異なりますが、ほとんどの上場銘柄は、SOR注文で取り扱われています。

「SOR注文」を選択すれば、よりよい価格で売買できる

SOR注文がよりよい価格で売買を行ってくれるのが分かったものの、選択することで具体的にどのような恩恵があるのか分かりにくいという人も多いと思います。具体例をあげながら、理解を深めていきましょう。

例えば、A社の株価が、東証で1,000円、PTS A で999円、PTS Bで998円の気配だったとします。
価格比較
市場 東証 PTS A PTS B
売値 1,000円 999円 998円
*PTSとは、Proprietary Trading Systemの略です。私設取引システムと呼ばれ、投資家が取引所以外で有価証券を売買できる市場のことです。
この状況でSOR注文を選択して買い注文を出すと、価格が1番安いPTS Bに買い注文が回送されます。反対に、売り注文を出すときは、価格が1番高い東証に売り注文が回送されます。

SOR注文を選択すると、より安く購入し、より高く売却する機会が増えます。

SOR注文の特徴

SOR注文の特徴

SOR注文の大きな特徴は、最良の価格を提示する市場を、システムが自動的に選択してくれることです。自分で、複数市場の情報収集をして比較をする手間が省けるだけでなく、発注時点に最良と判断された市場に注文が回送されるので、「より安く購入し、より高く売却する」投資機会が増えます。

SOR注文の注意点

SOR注文が対応しているのは、成行注文(※1)と指値注文(※2)のみです。不自由に感じない人もいるかもしれませんが、逆指値注文や執行条件付き注文には対応していません。

※1 成行注文は、売買する価格を設定しない注文方法。注文時の最良価格で売買がすぐに成立します。
※2 指値注文は、自分で価格を設定する注文方法。設定したその価格、あるいはそれよりも有利な価格でのみに売買が成立します。


また、SOR注文は、注文時の最良の価格で売買の執行を目指しますが、約定までの間に株価は動いているので、必ずしも注文時に確認した価格、あるいはそれよりも良い価格で約定できるわけではありません。例えば、SORを通して成行注文を出した場合、発注時は100円で買えた株が注文が市場に届く一瞬前に101円に変わってしまっていた場合、そして101円がその時点での最良価格の場合は101円での取引が成立することになります。

SOR注文を活用するには、ネット証券会社の口座開設が必要です

現在、SOR注文を選択できる証券会社はネット証券に限られています。また、証券会社によってSOR注文のロジック、回送先の市場の順番、利用条件などが異なります。すでにネット証券の口座を開設している人も、これからネット証券の口座の開設を検討している人も、SORの違いについて参考にしてみて下さい。

SOR注文を活用できるネット証券会社

SBI証券

SBI証券
対象市場 ・ 東京証券取引所(優先市場*)
・ ジャパンネクスト証券のPTS
特徴 ・ PTSへの直接発注が可能
・ 手数料が安い
* 優先市場とは、複数の証券取引所に上場している銘柄に関し、一定期間における売買高が最も大きい市場のことで、証券会社ごとに決められています。

楽天証券

楽天証券
対象市場 ・ 東京証券取引所
・ CboeジャパンのPTS
・ ジャパンネクスト証券のPTS
特徴 ・ PTSへの直接発注が可能
・ 手数料が安い

マネックス証券

マネックス証券
対象市場 ・ 東京証券取引所
・ ジャパンネクスト証券のPTS
特徴 ・ PTSへの直接発注不可*
・ 夜間取引には対応していない**
* マネックス証券は、PTSへの直接発注に対応していないため、SOR注文を利用してPTSに発注します。
** また、夜間取引がなく、東証の立会時間内のみの取引となります。

auカブコム証券

auカブコム證券
対象市場 ・ 東京証券取引所
・ モルガン・スタンレーMUFG証券のダークプール(MSプール)
・ ジャパンネクスト証券のPTS
・ CboeジャパンのPTS
特徴 ・ PTSへの直接発注不可*
* auカブコム証券は、PTSへの直接発注に対応していないため、SOR注文を利用してPTSに発注します
他にも取引ツールの使いやすさ、投資情報の豊富さ、総合的なサービス、口コミなども参考にして自分にとって使い勝手のいいネット証券会社を検討してみて下さい。

個人投資家の最良執行方針が見直されている

最良執行方針とは、顧客にとって最良の取引の条件で注文を執行する方針や方法を定めたものです。金融商品取引法の規定に従い、各証券会社が定めています。価格、コスト、スピード、執行の確実性などさまざまな要素を総合的に判断するとしています。

金融庁は証券会社に対して、最良執行方針の見直しの要請を検討しており、個人投資家に対しては原則として『価格優先』を重視するよう、明言しています。

つまり、原則として個人投資家の取引も、証券取引所とPTS(私設取引システム)において最良価格を提示する市場を選択し、売買注文を執行することが必要になるので、SORの導入を検討し始めている証券会社が増えてきています。

SOR注文を活用して投資の幅を広げよう

「SOR」とは、複数の市場から最良の条件を提示する市場を自動的に選択し、売買注文が執行されるシステムのことです。「SOR注文」を選択することで、よりよい価格での売買を可能にし、投資の幅を広げましょう。
PTSって何?

記事の中で出てきた「PTS (Proprietary Trading System) / 私設取引システム」という言葉。
PTSとは、投資家が取引所以外で有価証券を売買できる取引施設で、東京証券取引所(東証)の代替市場としての役割を期待されるシステムです。
東証とは異なる刻み値や売買単位、注文方法や取引時間外での取引が可能です。PTSを直接利用できるのは証券会社ですが、証券会社の顧客である投資家が売買注文時に「PTS発注」あるいは「SOR発注」を選択することで、PTSに発注することができます。

現在、日本ではジャパンネクスト証券とCboeジャパン、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)の3社がPTSを運営しています。

本記事に掲載されている全ての情報は、2021年12月20日時点の情報に基づきます。

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