金融・投資

2024.08.08

【新NISAの疑問を解決!】個別株に投資するなら…運用方法や注意点を教えてください

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2024年から新NISAがスタートし、これをきっかけに新NISAを使った資産運用への関心も高まっています。このように大注目の新NISAですが、「興味はあるけれどよくわからない」「とりあえず始めてみたが不安な点もある」という方も多いのではないでしょうか? そこで、この連載では、新NISAに対するみなさんの疑問をお金の専門家が解決していきます。

疑問に答えてくれるのは…

頼藤 太希(よりふじ・たいき)さん

頼藤 太希(よりふじ・たいき)さん

マネーコンサルタント
中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『マンガと図解 50歳からの「新NISA×高配当株投資」』(KADOKAWA)、『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など書籍90冊、著書累計160万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Ttwitter)→@yorifujitaiki(https://twitter.com/yorifujitaiki

今回ご紹介する質問はこちら…

新NISAのつみたて投資をしていますが、成長投資枠を使った個別株の投資も気になっています。つみたての場合は、ほぼ放ったらかしですが、個別株に投資する場合はどういった運用をするべきですか?情報収集方法や運用方法の違い、注意点を教えてください。

ズバリお答えします!

会社四季報で情報収集をして、成長性や財務状況を確認しながら銘柄を選ぶといいでしょう。分散投資でリスクを抑えることも大切です。

よく知っている銘柄に投資してみよう

新NISAのつみたて投資枠でつみたて投資を行い、堅実にお金を増やしていくのが基本戦略ですが、成長投資枠で個別株にも投資することで、投資を楽しみつつお金を増やすことも期待できます。日頃、目にするニュースの見え方も変わってくるはずです。
株式投資で多くの方が悩むのが「どの銘柄に投資すればいいのか?」ということです。
もしも株式投資がまったくの初めてでしたら、まずは自分が好きな商品やサービスを取り扱っている会社を選んでみましょう。「推し」の銘柄に投資できるのが個別株投資の醍醐味です。
日常的に利用しているお店やサービスを提供する会社から選べば愛着も湧きますし、その会社がどんな商品やサービスを手がけているのかがわかるからです。何より、好きな会社に投資していれば、値上がりを喜べますし、多少の値下がりにも目をつぶれるでしょう。いつも目にするニュースの見え方も変わってくるはずです。
今は1株からでも投資ができますので、少額でも株主になれます。株式投資の雰囲気をつかむには、実際に取り組んでみるのが一番です。

値上がりする銘柄を選ぶポイント

新NISAは投資で得られた利益が非課税になる制度ですので、利益が出なければ意味がありません。ですから、今後株価の値上がりに期待できる企業かどうかを判断することが大切です。
銘柄選びのポイント1:生活を豊かで楽しいものにしているか
消費者目線で、商品やサービスをチェックしてみましょう。生活を豊かで楽しいものにする商品や役に立つサービスは、いつの時代も変わらずに売れ続けます。自分が「利用したい」「便利」と思える商品・サービスを販売しているかどうかを確認しましょう。
銘柄選びのポイント2:10年後、20年後も必要であり続けるか
企業が提供する商品・サービスが、10年後、20年後も必要であり続けるかを考えましょう。たとえば、美容・健康・医療・介護といった分野の商品やサービスは、10年後、20年後といわず普遍的にニーズがあります。社会情勢の潮流に乗り、かつ今後も必要とされるサービスを提供しているなら、成長性が期待できます。
銘柄選びのポイント3:その企業ならではの強みがあるか
他社がマネできない独自のサービスや強みを持っている企業は、それがエンジンとなって成長する余地があります。例えば、特許を取得していたり、商品・サービスのシェアが高かったりなど「参入障壁が高い」企業は、今後も成長が期待できます。
銘柄選びのポイント4:成長・進化し続けるDNAがあるか
次のプラットフォームになり得る事業に投資している企業は、これからも成長・進化を続けるでしょう。人材育成、研究開発、設備投資、M&Aなどを行い、未来に投資している企業に注目しましょう。
上記のポイントを押さえて、数字で根拠を取りに行きます。
着目したいのが、売上高と営業利益です。売上高は会社の活動で得られた収入の合計額、営業利益は本業から得られた利益(売上高から売上原価と販管費を差し引いた残り)です。この2つが直近3〜5年で伸びているのであれば良い兆候。今後1〜2期の業績予測が伸びそうだと見られるなら期待大です。
売上高や営業利益などの情報は、証券会社のウェブサイトや各社が公表する決算短信のトップページなどにも記載されていますが、年に4回発行されている「会社四季報」(東洋経済新報社)をチェックするのがおすすめです。
会社四季報には、国内の株式市場に上場する企業全社の業績や財務状況などのデータが記載されています。さらに、2年先の予測が載っているのも嬉しいところです。また、各企業の記事欄には担当記者による見通し、今後の会社の事業戦略などがまとめられていて、情報収集をするのに非常に便利です。

投資信託より価格変動リスクが高い傾向にあることは注意

株式投資で得られる利益には、購入した株を売ったときに得られるキャピタルゲインと、株を保有していることで得られるインカムゲインがあります。
キャピタルゲインは、簡単にいえば「安く買って高く売った」場合の差額です。株価は日々動いており、ときには買った金額の2倍、3倍などと大きく値上がりすることもあります。
インカムゲインには、配当金があります。配当金は会社から株主に分配される利益の一部で、保有している株式数に応じて支払われます。
個別株は投資信託と違い、投資先が分散されていない分、価格変動リスクが高い傾向にあることは注意しましょう。株価が大きく上昇する可能性があるということは、同時に大きく下落する可能性があるということでもあります。また、配当金も会社の業績が安定していれば堅実に支払われるでしょうが、経営が不安定になると配当金を減らす「減配」や、配当金をなくす「無配」になる可能性もあります。
リスクを減らす観点で考えれば、銘柄を複数の業種に分散させることも有効です。もっとも、何百銘柄も分散する必要はありません。30銘柄を超えるとそれ以上分散投資効果は高まらないという分析結果もありますし、何より管理も大変です。10銘柄から20銘柄程度に絞って投資するのがよいでしょう。1株単位での分散投資であれば、おおよそ数万円程度で実現可能です。

個別株もつみたて投資できる

新NISAでは、成長投資枠でのみ株式投資ができます。1株から投資ができますし、タイミングを数回に分けて投資をすることももちろん可能です。また、証券会社によっては個別株のつみたて投資もできます。
楽天証券「かぶツミ」は、国内株式を毎月(または毎週)コツコツとつみたて投資できるサービスです。東証に上場するおよそ1,700銘柄のつみたて投資に対応しています。単元未満株を売買できる「かぶミニ」の対象銘柄にもつみたて投資の設定ができます。
かぶツミの最低投資金額は3,000円以上です。株価が3,000円未満の銘柄の場合は、2株以上つみたてする設定にして、約定金額の合計が3,000円以上になるようにする必要があります(なお、設定後に株価が下落して約定金額が3,000円未満になっても売買は行われます)。
SBI証券には個別株のつみたて投資サービスはありませんが、単元未満株の売買サービス「S株」では東証の全銘柄に投資可能。売買手数料も無料ですので、自分の気に入った銘柄を毎月少しずつ買い増していくことができます。
また、マネックス証券「米国株定期買付サービス」は米国株のつみたて投資ができます。日本株とは違って、米国株はもともと1株単位で購入することが可能。配当金も日本株は年1〜2回なのに対し、米国株では基本的に年4回もらえるのも嬉しいところですね。マネックス証券の場合、「配当金再投資サービス」を利用すると、得られた配当金で自動的に同じ銘柄を購入することもできます。
いずれのサービスも新NISAにも対応していますので、売買で得られた利益にかかる税金をゼロにできます(ただし、米国株の配当金は、NISAを利用しても米国内で10%の税金がかかります)。
個別株であっても、つみたて投資で購入することでドルコスト平均法の効果が得られます。
元本割れリスクを抑えながら投資したい場合は、個別株も積み立てで購入することを検討しましょう。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2024年5月22日時点の情報に基づきます。
※あくまでも頼藤太希さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。
◆頼藤太希さんの書籍紹介
新NISAについて、もっと詳しく知りたい方はこんな書籍もおすすめです。

マンガと図解 50歳からの「新NISA×高配当株投資」
https://www.amazon.co.jp/dp/404606725X

イラストを見るだけでわかる 新NISA
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マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版
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