本シリーズ「投資スイッチ!」では、何気なく過ごしている毎日の中にも、実は投資先や株取引について考えるヒントがあるはず!という視点のコラムをお届けします。ヒントに気づくための“スイッチ”を一緒に入れてみませんか?
Introduction
ここのところ日経平均株価は、38,000円から40,000円の間を行ったり来たりで、あまり注目されませんが、じつは昨年の年初は、連日のように株価が上昇し、忘れもしない2月22日、にゃんにゃんにゃんの猫の日に、日経平均株価は34年ぶりに史上最高値を更新しました。
上昇の要因は、生成AIブームの一丁目一番地である米国の半導体大手NVIDIAの好決算が、市場の期待を上回り、半導体関連株を中心に買いが広がったことです。特に、東京エレクトロンやアドバンテストなどの半導体製造装置メーカーが大きく値を上げ、日経平均を押し上げました。
また、企業業績の回復や資本効率の改善、賃上げの機運が高まっていることが海外投資家から高く評価され、日本株への買いが積極的に行われたことも背景にあります。さらに、円安や米国株の上昇、中国株からの資金流入など、複数の好材料が重なり、日経平均は年初から予想以上の速さで史上最高値を更新しました。
その後も、この流れはしばらく続きましたが、2024年7月11日に、42,426.77円の高値をつけてからは、いったん上昇相場は落ち着き、昨年の後半からは、大きく上げることも、大きく下げることもないレンジ相場となりました。しかし、揉み合い期間も長くなってきたので、そろそろ動き始めても良い頃です。
さて、今回は、猫の日にちなんで“ネコノミクス”銘柄を紹介します。
“ネコノミクス”とは?
ネコノミクスとは、猫関連の市場が経済に与える影響を指す造語です。日本では少子高齢化が進む中でペット需要が高まり、特に猫の人気が急上昇。実際、猫の飼育数は、2017年に犬の飼育数を超え、直近2024年度の調査(全国犬猫飼育実態調査)では猫の飼育数9,155千頭、犬は6,796千頭と大きく差が開いています。
犬より猫の人気が上昇している理由は、いくつか考えられます。
1.共働き世帯の増加や、都市部での暮らしやすさから、犬より飼いやすい猫が選ばれている。
2.InstagramやXで「猫動画・写真」が人気。
3.高齢者社会で「猫が心の支えになる」との考えから、シニア層の飼育も増加している
こういった猫人気によって、猫に関連するビジネスが拡大し、経済的な波及効果を生んでいます。
ネコノミクス関連の注目銘柄
ネコノミクスの拡大によって、猫関連のビジネスを展開する企業も成長しています。
愛猫の健康を支えるペット事業が成長のドライバーに…
まずは、ペットフード関連から。最近の傾向としては、ペットの健康に配慮したオーガニックなペットフードが人気のようで、なんだったら人間よりもお高いものを食べている猫さまもいるとか。
ペットフードといえば、「銀のスプーン」でお馴染みのユニ・チャーム(8113)です。こちらは、「ペットがいつまでも健康でいられる」ための食事に注力しており、年齢・体格・体調・嗜好などペットごとの特徴に合った栄養バランスを追及したペットフードを展開しています。また、医療の進化により、ペットの長寿化にそなえて、生涯動ける健康なカラダづくりをサポートするペットフードも揃えています。
また、ペットの高齢化にともなって、需要の拡大がめざましいのがペットトイレタリー分野です。ユニ・チャームでは、「ペットが清潔で、快適に暮らせること」をコンセプトに、猫砂「デオサンド」、システムトイレ『1週間消臭・抗菌デオトイレ』などを提案しています。
2024年12月期の決算資料によると、ペットケア事業部は、売上全体の15%程度ですが、前年比でコア営業利益は11.9%と業績を牽引しており、成長分野であることがわかります。2025年度もペット事業は引き続き当社の成長ドライバーになると予想されています。
ここ10年で加入率が増加しているペット保険
ペットの家族化が進むにつれて、病院にかかる猫も増えています。医療費の高騰は人間界もペット界も同様で、ペット保険への加入率はここ10年で10%以上増加。市場規模は、1,000億円を超過し、今後も伸長の余地があると考えられています。
ペット保険の草分けといえばアニコムホールディングス(8715)で、市場シェアのほぼ半分を握っています。売上利益は着実に伸びており、今期25年3月期は、最高売上、最高利益を更新する予想です。
犬・猫の保険加入比率は、8:2程度と圧倒的に犬が多いですが、昨今の猫飼育保有の増加にともない、猫の加入も増えると考えられます。
世界中で愛される猫キャラが業績に貢献!
そして、最後は、ネコノミクスのエンタメ担当、猫キャラで潤う企業です。
日本を代表する世界的アイドル猫といえばキティちゃん。2024年には、生誕50周年ということで、各種イベントが大盛り上がりでした。そのおかげでサンリオ(8136)の業績は、経営者も驚くほどの拡大っぷりで、25年3月期は、第三四半期決算発表までに3回上方修正しています。
もう1社、人気猫キャラを有するのは、カプコン(9697)です。人気ゲームシリーズ「モンスターハンター」に登場する猫型のキャラクター「アイルー」は、シリーズのマスコット的存在で、グッズ展開も多く、猫好きのプレイヤーに大人気です。アイルーを主役にしたスピンオフゲームも展開しており、業績に貢献しています。
ネコノミクスの今後
ネコノミクスは、単なる一時的なブームではなく、今後も継続的な成長が期待される市場です。猫を中心とした経済圏は拡大しており、関連ビジネスへの投資も注目されています。
とくに今後は、ペットテックの進化によって、スマート猫トイレ、ペット用ウェアラブルデバイス、AIを活用したペット見守りカメラ、健康管理アプリなどが急速に普及しそうです。
ただし、動物愛護法の改正によるペット販売禁止など、外資系企業の参入による国内企業のシェア争いなどのリスクはあります。
相場の風向きは、猫のように気まぐれです。アンテナを貼りつつ、したたかにネコノミクス相場に乗りたいものです。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2024年2月17日時点の情報に基づきます。
※あくまでも藤川さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。
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