株を始めるにはいくら必要?少額からでもできる投資の始め方
株式投資、興味はあるけど自分なんてまだまだ。知識もないし、お金もないし……。そう思っている人も少なくありません。もちろん投資にはリスクが付きものなので、余剰資金を使い、しっかりと理解した上で行うことが大切です。一方で、無理のない範囲内で少しずつ投資を行いながら、知識や経験値を高めている人もいます。今回は、投資初心者の方でも取り組める、少額からできる株式投資について解説していきます。
今回お話を伺ったのは…
株を始めるにはいくら必要?
株式は原則、1単元で購入します。単元とは通常の株式取引で売買される単位のことです。
八百屋さんでイメージすると分かりやすいです。バラ売りで一つから購入できる野菜もあれば、カゴや箱に入っていて10個、20個単位でなければ購入できないものもありますよね?
株式も同様に、以前は1株から買えるもの、100株や1,000株単位のものと発行する企業(銘柄)によって違っていましたが、今は100株単元に統一されています。
よって、株価が500円となっている場合は500円×100株=5万円が必要となります。
初心者におすすめの少額投資を始める方法
1株500円、100株5万円程度で購入できるのであれば、手が届く人も多いかもしれません。ただし、中には1株が1万や3万円もする株もあります。なお、このように1株あたりの金額が大きい株のことを「値がさ株」といいますので、この言葉も覚えておきましょう。
株を買うために100万円以上のお金が必要となると、そう簡単に投資できる金額ではありません。しかも株式の場合、その企業が破綻した場合など価値が0円になるリスクもあります。よって、特に初心者の人は少額から株式投資をすることをおすすめします。少額で投資をする方法は大きく2つです。
- 1株あたりの株価が低いものから選ぶ
- 単元未満株で購入できるサービスを利用する
1は当然ですが、値がさ株を見送り、1株数百円という株の中から今後の成長が期待できる銘柄や魅力的な銘柄を探してください。ここ数年、東京証券取引所が上場会社に「購入単価が50万円を下回るように」といった要請をしていることもあり、予算が数万や数十万円でも購入できる銘柄はたくさんあります。ぜひその中から選んでみてください。
2つ目は、証券会社が行っている単元未満株で購入できるサービスを利用し、1株単位で購入するという方法です。
さきほど八百屋さんの例で紹介しましたが、株式は100株単位、つまり「箱買い」が原則ですが、単元未満株は証券会社が代表して箱で買い付け、それを1株ずつ投資家に分けてくれるような流れになります。よって通常の株式投資とは売買ルールが異なります(表1参照)。
全ての証券会社が行っているわけではないため、「単元未満株」や「ミニ株」といった名前で展開している証券会社で口座を開く必要があります。
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単元株 |
単元未満株 |
株主 |
本人 |
証券会社 |
株主総会 |
出席できる |
出席できない |
配当 |
受取ることができる |
優待 |
もらえる |
原則もらえない(もらえる場合もある) |
売買 |
取引時間中いつでも |
1日1回または数回証券会社によって異なる |
株式の移管(他社へ移す) |
できる |
できない |
1株ずつ、あるいは数百円や数千円といった少額でも購入できますが、先に紹介したように実際に市場で購入しているのは証券会社ということになります。そのため、単元未満株の場合、正式な株主ではないため、株主総会に参加して経営に関する議決権を行使するということができません。また、株主の特典の一つともいえる株主優待も原則、もらえません。
ただし、現在は証券会社や優待を実施している企業によっては単元未満株主でももらえる場合もあるため、事前に確認してみてください。
少額投資で成功するためのポイント
単元未満株で購入できれば、お小遣い程度から株式投資をはじめることができます。特にネット証券会社などを中心に1日ワンコインや1,000円程度の積立サービスもあるため、大変便利です。少額投資の場合、継続的に積立を行うことが成功のポイントといえます。
ここで簡単な例を紹介します。A株の株価が以下のように推移したとします。
<A株の日々の終値の推移> 500円→400円→350円→450円→550円→450円→420円→350円→410円→430円
※値幅制限等は考慮していません
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当初500円だった株価は大きく下げたり、値を戻したりしながら10営業日経過し、現在は430円です。もし当初100株、5万円分で購入していた場合、現在は4万3千円で7千円マイナスになっています。
毎日1株ずつ購入した場合の買付平均単価は10営業日の単純平均となるため431円となります。10日目の430円とほぼ同じ金額となりましたが、少しマイナスが生じています。
では、毎日1株ではなく「毎日1,000円分」購入したらどうなるでしょうか?日々、購入できる株数は以下のようになります。
500円(2株)→400円(2.5株)→350円(2.9株)→450円(2.2株)→550円(1.8株)→450円(2.2株)→420円(2.4株)→350円(2.9株)→410円(2.4株)→430円(2.3株) (10日間平均)10,000円÷23.6株=423.7円
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1日目は1,000円÷500円で2株を購入できましたが、翌日は株価が下がったため1,000円÷400円で2.5株と1日目より多く購入することができました。一方、550円と株価が高くなっているときには1.8株しか買っていません。つまり「安い時にたくさん買い、高い時には少ししか買わない」のです。これをドルコスト平均法といいます。
株はなるべく安く買って高く売ることで利益が出ます。このように毎回の金額を固定して積み立てていくと、平均買付額が低くなり、利益が出やすいということになるのです。
ちなみにこのケースでは10日間で1万円を積み立てたことになります。平均買付額が423.7円と最終日の株価430円を下回っているため、今、売却すると利益が出る状況になっています。
当然、このようなケースばかりではありませんが、コツコツ長く続けることでこのような効果が期待できるので、少額で投資をする場合は金額を指定して長期間積立を継続するというのも一つです。
まずは少額から始めてみよう
株式投資は取引所が開いているのが原則平日9時~15時半であるため、それ以外の時間では取引できず、土日や祝日も休みとなります。そのため、投資をはじめると取引できず株価が動かない時間帯が少し物足りなく感じる人もいます。筆者もそうでしたが、週末明けの月曜日が少し楽しみになりました。「今週はどれだけ上がるかな?何か大きな動きがあるかな?」という具合です。多くの人は休み明けの月曜日はちょっと憂鬱だったりしますが、株式投資のおかげで元気に週明けを迎えることができます。
取引時間中は仕事中でなかなか売買できないという人は、取引所を経由しないPTS(私設取引システム)を活用するのも一つです。一部の証券会社がPTS取引を行っており、朝の早い時間帯や夜遅くでも取引できます。野菜の場合、青果市場で取引されるものが多いですが、郊外でよくみかける直売所のように、別ルート、別の方法で購入するイメージです。
まとめ
少額投資の成功の一つとして積立方法を紹介しましたが、やはりどの株に投資をするか?ということも大切です。野菜も色や形で美味しさが異なるため、実際に手に取り色んな角度から物色している消費者を良くみかけますよね。株も同じように、投資先の成長性、安全性、業界での優位性、国際競争力など様々な要素があります。一気に知識を身に付けすべてをチェックするのは難しいですが、少額での投資を実践しながら「これだ!」という株を見極める皆さんならではのチェックポイントを探すのもまた楽しいですよ。実践しながら学ぶには少額投資は最適です。
※本記事に掲載されている全ての情報は、2025年3月25日時点の情報に基づきます。
※あくまでも内山貴博さん個人の投資手法を説明するための例示および見解であり、ジャパンネクスト証券株式会社が取引の勧誘をするものではありません。
内山FP総合事務所株式会社代表取締役。ファイナンシャル・プランナー(1級FP技能
士、CFP®)、MBA(九州大学修士課程修了)、九州共立大学経済学部非常勤講師。
証券会社の本社部門に勤務後、28歳で独立。FP相談やセミナー、執筆、銀行はじめ金融機
関での研修などを中心に活動。日本に生活する外国人向けに英語でのFPコンサルティング
も行っている。著書に「駆け出しFPの事件簿」(KINZAI刊)、「お金の使い方テク」(
朝日新聞出版)などがある。