株式

2022.07.04

IPO(新規公開)株とは何か

IPOは「Initial Public Offering」の略で、日本語では「新規公開」や「株式公開」などと呼ばれています。未上場の企業が株式を公開して証券取引所に上場することです。上場した株式は、誰でも売買することができるようになります。

IPO株とは

株式が公開されると、誰でもその企業の株式を購入することができるようになります。上場して初値が付くと「上場株」と呼ばれますが、上場が決まっている未上場の株式は「IPO株」と呼ばれ、上場前の公募価格で購入することができます。

企業は証券会社を通して購入したい投資家を募集します。投資家は、ブックビルディングに参加し、抽選に申し込みをして当選をすると、公募価格でIPO株を購入する権利を得ることができます。

公募価格は、投資家の需要状況に応じて企業と証券会社が協議をして決定します。IPO株の需要と注目度は高く、上場後の初値は公募価格を上回る銘柄も多くあります。投資家は、公募価格で購入したIPO株が上場して、もし株価が上がると、売却して利益を得ることができます。

上場直後の株価は本当に値上がりしやすいのか?

過去のデータを見てみましょう。2017年から2021年の5年間のIPOの件数と、初値が公募価格を上回った件数・割合は下の通りです。

実際に8割前後のIPO株の初値は公募価格を上回っています。
IPO 企業数 初値が公募価格を
上回った企業数
初値が公募価格を
上回った割合
2021年 125 101 81%
2020年 92 70 76%
2019年 82 74 90%
2018年 89 80 90%
2017年 86 78 91%
※SBIネオトレード証券のデータを基に作成(出典

取引手数料が無料

上場株式の取引には通常手数料がかかりますが、IPO株の購入に手数料はかかりません。抽選への申し込みも、当選後の購入の申し込みも、手数料がかかりません。

IPO株購入の注意点

抽選で落選する可能性がある

需要の高いIPO株の購入は、申し込みが殺到するため、公平性を重視して抽選が行われます。ブックビルディングへの参加申し込みは誰でもできますが、抽選に落選すると、上場前の公募価格でIPO株を購入することはできません。

公募価格より高い株価が付くとは限らない

初値が公募価格を上回ることが多いIPO株ですが、初値が公募価格を下回ったり、高い初値がついてもその後株価が下落する場合もあります。

株式が上場すると、需要と供給のバランスによって株価は上下します。IPO株を公募価格で購入しても、割安の株を購入するのと同じで、購入した株価は上下します。「IPO株の株価は必ず上がる」と断定することはできません。

購入資金を事前に入金する必要がある

IPO株の抽選に申し込みをすると、購入資金を事前に入金しなければなりません。入金が必要なタイミングは証券会社によって異なりますが、早ければ抽選の申し込み時に入金が必要です。
購入申込後のキャンセルは可能ですが、証券会社によっては当選後のキャンセルにはペナルティを設けていることがあります。事前に必要な資金も考慮してIPO株の抽選に申し込みましょう。

IPOの抽選に当選しやすくするには

複数の証券会社でIPOに申し込む

資金に余裕があれば、複数の証券会社からIPOに申し込むことで、当選確率を高めることができるかもしれません。

主幹事の証券会社でIPOに申し込む

主幹事の証券会社でIPOに申し込むことも一つの戦略といえるでしょう。主幹事を務める証券会社は、他の証券会社よりも多くの公開株を引き受けます。

自分に有利な証券会社を選ぶ

IPOの分配方式は証券会社によって異なります。完全に平等な抽選を行ったり、優良顧客に優先して配分したり、抽選に独自のサービスを導入したりしています。各証券会社の仕組みを調べて、自分に有利な証券会社を選ぶことで、当選確率を高められるかもしれません。

当選確率を高める仕組みがある証券会社を使う

証券会社によっては、抽選に独自のシステムを導入していることがあります。

例えばSBI証券は、「IPOチャレンジポイント」という仕組みを導入しています。IPOの抽選で落選すると獲得でき、次回以降のIPOの申し込みで使えるポイントです。ポイントを消費してIPOに申し込むと、当選確率が上がります。

IPO株を購入する流れ

ブックビルディングに申し込む

ブックビルディングとは、購入したい株価と枚数の意思表示をすることです。ブックビルディングに申し込むと、IPOの抽選に参加することができます。

当選したら購入する

ブックビルディングを経て公募価格が決まると、公募価格以上の値段でブックビルディングに参加していた購入希望者を対象に、抽選が行われます。当選するとIPO株を購入できるので、購入の申し込みを行います。

上場日の初値で売却する

IPO株は、上場日の初値で売却し、損益を確定することを目的に投資するのが一般的と言われていますが、初値で売却せずに保有し、すぐに売却をしない投資家もいます。

IPO株への投資は、申し込みに当選する運も必要

IPO株は、ブックビルディングに参加したからといって誰でも購入の権利が得られるわけではなく、運も必要になってきます。IPO株を購入するために必要な流れを確認して、抽選に申し込んでみて下さい。

本記事に掲載されている全ての情報は、2022年3月30日時点の情報に基づきます。

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